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Category Archiveマンスリーコラム

距離を縮めるタッチング

穏やかに晴れる日が多くなってきました。セラがある表参道もさらに人通りが多くなり、とても賑やかです。特に週末や祝日は、真っ直ぐには歩けないほどです。私自身もそうですが、人がたくさん行き交う人ごみは苦手という方も多くいらっしゃるかと思います。
人ごみにもタイプがあるようです。多くの人が同じ方向を向いている場合といろいろな方向に向いている場合とでは、歩きやすさが全く違います。朝の出勤時間帯の東京駅より、渋谷の交差点のほうが歩きにくいのはそのためです。そこにパーソナルスペースの問題が発生するため、さらに人ごみを苦手に感じるのでしょう。
アメリカの文化人類学者であるエドワード・T・ホールは、次のように相手との距離感を四つに分類しました。

1.密接距離(0cm~45cm)  身体に触れられる距離。家族などごく親しい人
2.固体距離(45cm~120cm)  二人共が手を伸ばせば相手に届く距離。友人。
3.社会距離(120cm~350cm)  会話ができる距離。あらたまった場。
4.公衆距離(350cm以上)  公式な場。かかわり合いがない距離。

パーソナルスペースとは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことを指します。ごくごく親しい人がこの距離にいることは許されますが、それ以外の人がこの距離に近づくと不快に思う距離というのが45cmなのです。人ごみや満員電車での人との距離感を思い浮かべてください。45cmのパーソナルスペースが保てているでしょうか。空いている椅子がたくさん並んでいたら、すぐ隣に人が座らないように荷物を置くのは、このパーソナルスペースを保とうとする無意識の行動です。
このように、パーソナルスペースは物理的な距離だけではなく、心理的な距離も伴っています。親しくない人とは、自然にパーソナルスペースを広く取りますね。つまり、心理的な距離に比例して、物理的な距離を取ることになります。反対に物理的な距離を縮めることで親しくなることもできます。

タッチングの講習会やワークショップを行うと、家族やパートナーにタッチングをすることは大切ですよとお話しますが、タッチングを行う際の相手との距離感はエドワード・ホールの言うまさしく1の密接距離ということになります。親しいからこそのタッチング効果を期待することもできますし、タッチングを通して心理的な距離を縮めることもできます。物理的な距離も心理的な距離にも変化を起こすことができるタッチングは、言葉とは異なったコミュニケーションの一つと言えますね。

町田映子

桜の香り

首都圏などで降った記録的な大雪のために、公園の樹木が倒れる被害が多く発生しました。雪の重みで枝が折れた樹木は東京都内の公園や庭園だけでも1万本を超えたそうです。少しずつ暖かくなってきたこの季節、春のお花見シーズンがどうなるのかと心配されています。
桜といえば、独特のふんわりした香りを思い浮かべる方も多いと思いますが、香りの正体は「クマリン」という芳香成分です。ですが、桜そのものから香りは発せられていないのです。桜の木の近くを通っても桜の香りはしませんよね。「クマリン」は塩漬けにする課程で生成されるものなのです。つまり桜の香りの印象は、桜餅や塩漬桜の香りということです。
クマリン類は植物に広く含まれています。特にセリ科に多く、パセリや明日葉が挙げられますが、よく耳にするのは柑橘類です。柑橘類はフロクマリンによる光毒性があることで知られています。クマリン類はクマリン、フロクマリン、ピラノクマリンの三つに分けられます。そのうちフロクマリンには光毒性(光感作)があり、フロクマリンを含んだ精油を肌に塗って、直射日光に当たるとシミなどの原因になってしまいます。フロクマリンは、紫外線を溜め込む力が強く、それを内側から皮膚へと放出するため、色素沈着などを発生させるのです。そのため、フロクマリンを取り除いた精油、たとえば「ベルガモットFCF(フロクマリンフリー)」のような製品があります。
もちろん、光毒性のように気をつけて使用しなくてはいけないこともありますが、フロクマリンを取り除けるのだという事実にも注意が必要です。精油が持っている成分を操作できるということになりますよね。
精油は、天然の化学物質が、数十から数百個集まってできた混合物です。200~300個とも言われる精油成分は、その成分によって使い分けがされているのです。そのため、アロマテラピーに使用する精油は、100%天然である必要があります。特定の成分だけを抜き出したり、別の植物の精油と混ぜたりしていないか、農薬などの有害物質が混入していないかをきちんと把握しなければいけません。ガスクロマトグラフィーの分析機械によって出される分析表等で、アロマテラピーに必要な成分が、確かに含まれているかどうかを確認することが大切です。人間の操作によって、複雑に成立している精油の成分が変えられてしまうと、元来持っている天然の香りとはかけ離れていくことになり、またそこから得られる作用も異なっていくはずです。
もし塩漬けの桜葉からクマリン類を取り除いた葉を作ったとしたら、あの桜を連想させてくれる柔らかな香りはしないことになりますね。その葉を巻いて作った桜餅は、たいそう味気ないことでしょう。今年は、桜餅の葉もその香りとともにゆっくり味わいたいと思います。

町田映子

免疫力を下げない体温は?

インフルエンザが流行のピークをようやく越えたようです。今年も無事に乗り切ることができました。思えば、子供たちが小さかったころは、毎年必ず、インフルエンザをはじめとしたあらゆる種類の風邪にかかっていました。
生まれたばかりの赤ちゃんは病気にはならないと言われています。母子免疫(受動免疫)と呼ばれ、母親が免疫をもっているとその抗体が赤ちゃんに移行するため、一定期間病気から免れられるというものです。
「免疫」とは、「疫(病気)を免れる」システムのことです。人間は身体に入ってきたウィルスなどの異物を、自分の身体とは異なるものと区別して排除しようとします。特定のウィルスに対しては細胞が覚えているため、2度目に侵入してきたときは、それに対応する「抗体」を作って攻撃することができます。赤ちゃんは、胎盤を通して母親の抗体をもらって生まれてくるのです。そのため母親がもっている抗体と同じくらい持っていると言われています。もらった抗体を少しずつ消費していくのと比例して、自分自身で作り出す抗体の量が増えていきます。ちょうど幼稚園に入園するくらいの年齢から、集団の中でウィルスに感染しても抵抗力がついていくようになるのです。確かに、子どもたちが小学生になるころに、ようやく病気の嵐から解放されたように思います。
せっかく抗体を作り出しても、多くの影響を受けて免疫力が下がってしまうことがあります。たとえば、最近は平熱が36℃未満の低体温の子どもが多いそうですが、平均体温が1℃下がると免疫力は30%以上も下がってしまいます。抗体を作り出してくれている白血球が、血流が悪いために体中に運ばれなくなっている状態になっているのです。風邪をひいたときに熱が高くなるのも、体温を上げて免疫力を上げようとする防衛反応であることからも、体温が免疫力に与える影響がわかります。
低体温を改善し、血行をよくするためには、運動、たんぱく質やビタミン類のバランスのとれた食事、入浴、マッサージが有効です。身体が温まると、溜まっていた老廃物が排出され、リンパの流れが改善されます。白血球がきちんとした働きをしてくれるのと同時に、体内の有害物や毒素が少なくなるので、新しく体内に侵入してきた異物に対しても反応のスピードが上がり、すばやく攻撃できるようになります。身体が健康でいられる体温は36.5~37℃だそうです。血行をよくし、身体を温めて、ウィルスに負けない身体づくりをしていきたいですね。

町田映子

旬をいただく

ノロウィルスのニュースを耳にすることが多くなりました。ノロウィルスとは、乳幼児から高齢者まで広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こすウイルスのことを言います。主に冬に多発し、下痢だけではなく嘔吐を引き起こすことが特徴です。
ノロウィルスといえば、牡蠣などの2枚貝の生食による食中毒が有名です。ですが、牡蠣がウィルスを持っているわけではありません。牡蠣はプランクトンを餌としているので、その際にウィルスを内臓に蓄積してしまうのです。養殖場に人間の生活排水が流れ込んでいることが考えられるため、管理の行き届いた生産者から購入することが肝要です。保険機関のデータを見ても実際の飲食店における原因は牡蠣の食中毒よりも、誰かがノロウィルスに感染し、施設内で、人から人への感染し拡がってしまうケースが多く報告されています。

すっかり悪者にされてしまった牡蠣ですが、「海のミルク」と呼ばれるほど豊富な栄養が詰まっています。生牡蠣100g中に、1日に必要とされるたんぱく質の3分の2が含まれているのです。食物からしか摂れない必須アミノ酸をはじめとして全18種類のアミノ酸を含む良質なたんぱく質です。また、牡蠣の旨みは、グリコーゲンなどによるものです。牡蠣の糖質の50%をグリコーゲンが占めています。グリコーゲンは、体内のエネルギーが不足したときに糖質に変化して血液中の糖度調節に使われるため、疲労を回復してくれます。この他にもビタミン類やミネラル類など、牡蠣は私たちの体に必要な栄養素が多く摂取できる食材なのです。
冬の市場で多く見られる真牡蠣は、夏は産卵期で痩せています。菌も繁殖しやすいので、英語圏では“r”の付かない月(5~8月)には食べてはいけないと言われています。11月頃からおいしくなり始め、産卵に入る準備をしている3月~4月頃が一番栄養を蓄えています。冬場に牡蠣が旬と言われるのはそのためです。

旬にいただく食材は、やはりおいしいものです。冬の野菜だと、ブロッコリー、白菜、ネギ、大根、春菊などですね。牡蠣も栄養を蓄えている時期が一番美味しいように、旬は、その食材が持つ栄養価を一番多く含んでいる時期なのです。たとえば、ほうれん草。旬以外の時期、ビタミンCは20mgですが、冬には70mgも含んでいます。寒締めほうれん草やちぢみほうれん草は、寒気にさらされることによって、ほうれん草が葉や茎に栄養を蓄えようとするため、より栄養もあり、甘くなります。冬だからこその野菜ですね。冬が旬な食材は、風邪を予防したり、乾燥を防いだりしてくれます。四季に合わせて大切な栄養素が摂れるようになっているのです。
現在はたくさんの食材が一年を通して手に入れることができるようになりました。ですが、その食材の旬はやはり変わりません。一番栄養価の高い時期に旬の食材をいただくようにしたいものです。今の時期には、冬が旬の野菜や魚、牡蠣が入っているお鍋は、体も温まりますので最適ですね。本日の献立にいかがでしょうか。

町田映子

肩こりの季節

毎日寒い日が続き、いよいよ冷えの季節が到来しました。寒い今の時期、肩こりに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。体の中の筋肉が冷えると、硬くなって、筋肉と筋肉の間にある神経が圧迫されてしまうのです。この「肩こり」、日本人特有だと言われているのをご存知ですか?
「指で圧してみると、頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように凝っていた。」夏目漱石の『門』の一節です。当時新聞に連載されていたため、この「石のように凝っていた」という表現が使われてから、肩周辺の痛みを「肩こり」と呼ぶことが一般的になりました。では、それ以前には肩こりはなかったのかというとそうではありません。漱石よりずっと以前、江戸時代の医書にも肩こりの症状が書かれています。海外についても同じことが言えます。単語ではありませんが、硬くなった肩といったように言いますし、もちろん肩こりの症状がないわけではありません。
肩こりという表現方法が浸透して以来、日本人と肩こりは切り離せない関係になりました。日本人の8割以上が肩こりを自覚しているとも言われます。日本人に肩こりが多い理由の一つに、姿勢の悪さが挙げられます。立った時に背骨にゆるやかなS字のカーブを維持できる姿勢が理想的ですが、猫背になっていたり、お腹を突き出したような姿勢が日本人には多く見られます。骨格や筋肉が華奢にできているうえに、体重の約8%の重さがある首を支えなくてはいけないため、首や肩の筋肉に大きな負担をかけているのです。最近ではスマートフォンをのぞき込むために、首が前に下がり、目や首、肩に痛みを引き起こす「スマホ症候群」も流行しています。現代でもまだ肩こりとの縁は深いようですね。
また、真面目で几帳面、神経質といった日本人が持つ性質も肩こりと関係がありそうです。ストレスを多く抱えていると交感神経と副交感神経のバランスが乱れます。自律神経の中の交感神経が優位になり、血管を収縮させるため、筋肉が硬くなってしまうのです。さらに血流が悪くなることで、痛みを感じる物質が出て痛みが増していきます。
このように私たちと根深い関係にある肩こりを解消するためには、筋肉を温めて血行を改善しなくてはいけません。ですが、一時的ではなく、この関係を断ち切るためには、あらゆることを省みる必要がありそうです。今、姿勢はどうでしょうか。首が前に出ていませんか?軽い運動やストレッチももちろんですが、栄養のバランスも見直してみましょう。血がドロドロでは血流はよくなりません。筋肉のもとになっているたんぱく質、血行を改善してくれるビタミンBやE、筋肉を緩めてくれるマグネシウムは摂れていますか?これを機に自分の体や生活について、もう一度振り返ってみるのもいいですね。今年一年が過ぎるころには、肩こりから解放されているかもしれません。

町田映子