6月、7月コラムに安部塾のことを書いたところ、亀田総合病院乳腺外科部長の福間先生、イルカクリニックの三浦先生、アロマセラピストの方、NPO関係の方、一般の方からたくさんの感想が寄せられました。
安部先生のノマドの話から遺伝子の話まで、興味を誘ったのでしょう。7月のコラムに“X染色体は大きなY染色体に比べ、ゴミみたいに小さく、貧弱な形をしている”と書いてしまいました。“Y染色体は大きなX染色体に比べ、ゴミみたいに——-”が正解です。X染色体は母系で、Y染色体は男系染色体です。XとYを書き間違えていたわけですが、すぐに何人かから間違いの指摘を受けました。これも熱心に読んでくれている方が多いせいですね。

安部塾の2回目はヒトの進化から始まりました。キーワードはミトコンドリアイブです。
現代に生きるすべての人間は、約20年前アフリカに生きた一人の女性の子孫であることがわかっています。男性の祖先はわからず、女性の祖先だけがわかるのはどうしてか。それはミトコンドリアにあります。DNAは細胞の核の中に一つだけ位置しているように思えますが、細胞内でエネルギー代謝をしているミトコンドリアも独自のDNAを持っています。そしてミトコンドリアのDNAは母親からのもので、母親系がわかるわけです。母親、母親の母親、さらに母の母の母と女系をたどることができます。しかし精子のミトコンドリアは受精前後に排除されてしまうので父親の系はたどることができません。現在Y染色体から6万年前までたどっているようです。このようにミトコンドリアの遺伝子解析から20万年前のアフリカの女性にたどり着いたわけです。

ヒトの祖先は約700万年前に、チンパンジーの祖先と別れて進化し、熱帯雨林で生活してきたと推定されます。
そして200万年前に、森から草原へと出て、食料は植物から肉食動物の食べ残しの肉へと肉食比重が大きくなっていきます。そのころ100人程度の集団で生活し、お互いの個体識別、挨拶の重要性、子育ての協力など、ヒトの生活の基本型があったといえるそうで、個体識別を伴う社会生活を可能にするには、高度の情報処理が必要で、大脳皮質の面積と関係してくるそうです。
150万年前から80万年前頃から火を利用し、簡単な鳴き声によるコミュニケーションも取れてきましたが、顎と喉頭の位置から母音の発音はまだ充分ではなかったようです。学生の時習った100万年から70万年前のジャワ原人、50万年前から20万年前の北京原人、また3万年前で滅びたネアンデルタール人も我々の祖先、ホモサピエンスではないことがわかっています。20年以上も前にフランスボルドーに行った時に、ボルドーから130キロ東に離れたラスコーの壁画を見に行きました。劣化を防ぐために洞窟は閉鎖されていれ、そこから2キロ程のところにあるレプリカを見ました。洞窟も壁画も照明も本物のように良くできたものでした。赤土、黄土、木の炭に獣脂、血、樹液を混ぜ、主に赤、黄、黒色で馬、羊、山羊、野牛、鹿など大きな動物が書かれていました。この壁画は2万年前から1万年前にクロマニヨン人によって書かれた壁画です。ホモサピエンスであるクロマニヨン人はネアンデルタール人と数万年も同じ世代を生きていたそうです。

町田 久