祥伝社の黄金文庫から三石巌先生の“医学常識はウソだらけ”が平成21年に文庫として出版され、現在も版を重ねています。三石巌先生は15年前に95歳で亡くなられましたが、いまだに本の内容は新しい情報と言えます。本の帯には「コレステロールは“健康の味方”? 貧血に鉄分ではなく、タンパク質!?」とありますが、まだまだコレステロールの数字を気にして、卵を敬遠し、コレステロール降下剤を飲んでいる方が多いのが現状です。
コレステロールについて本の中から抜粋してみると、

“日本人はコレステロールのことを、成人病の病原体であるかのように信じてしまう。しかし、もちろんコレステロールは病原体のようなものではないし、それが直接、成人病をひき起こすわけでもない。それどころか、コレステロールは体にとって必要不可欠な物質なのである。これがなければ、私たちは健康な肉体を維持することができないのである。—-脂質の一種であるコレステロールは、細胞を作るときに必要な材料の一つである。すべての細胞は細胞膜に包まれている。その細胞膜を作る成分として、コレステロールはきわめて重要な存在なのである。この材料が不足していると、新しい細胞を正しく作ることができなくなってしまう。
コレステロール不足がガンを招きやすいといわれるのもそのためで、細胞膜が弱いと、その部分がガン化しやすいわけである。また、皮膚にあるコレステロールは紫外線を浴びるとビタミンDの前駆体になる。ビタミンDは、とくにカルシウムの吸収に必要とされる物質である。したがって、コレステロールが少ない人はビタミンDが不足し、その結果、カルシウムの吸収が不十分になって骨が弱くなってしまう恐れがある。さらに言えば、女性ホルモンや男性ホルモン、ストレスを受けたときに副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモンなども、コレステロールがなければ作ることができないのである。
それだけ重要な役割を担っている物質だから、コレステロールは体内でも作られている。肝臓で作りだしているコレステロールの量は、私たちが食品から摂取する量の数倍になるだろう。こんなに大切な物質が、単に「成人病の原因」としか思われていないとしたら、まったく困ったことだ。患者にそういう偏った情報しか与えない医者は、無責任としか言いようがない。
コレステロールは、肝臓でリポタンパクというタンパク質に包まれる。宅急便のパッケージみたいなもので、梱包された状態で血液の中を流れて、必要なところに届けられる。このリポタンパクというパッケージには、いくつかの種類がある。その中でもしばしば問題にされるのが、俗に「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLと「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLである。———LDLが肝臓から発送されてコレステロールを必要とする組織へ運ぶのに対し、HDLはたとえば、血管壁などで余ったコレステロールがあると、それを元の肝臓へ持って帰る役割を担っている。往路のLDLにはコレステロールが多いが、復路のHDLには少なく、代わりにレシチンが多い。”

コレステロールが問題になるのは活性酸素という有害物質の攻撃を受け、コレステロールを梱包して運んでいるリポタンパクが酸化した時であると本は続く。
コレステロールの必要性、リポタンパクに対する抗酸化、そしてタンパク質とレシチンが十分に摂取できていれば、善玉コレステロールHDLが増えると説いている。何の解釈をも必要としない文章は、本質を理解していないと書けないものでしょう。

町田 久