諏訪中央病院名誉院長 鎌田実さんが“がんに負けない、あきらめないコツ”を朝日文庫から出版されています。その中で遺伝子学者の村上和雄さんとの対談が載っています。
ヒトゲノム(全遺伝情報)は30億の化学文字からなっていて、その中で働いているのは3%と言われています。
村上さんは“多くの遺伝子は眠っている、眠っているいい遺伝子のスイッチをオンにして、起きている悪い遺伝子のスイッチをオフにすることができれば、病気なども治る可能性が何倍にもなるのではないか”“特別な遺伝病を除いて、私はほとんどの病気は、遺伝子が食べ物やストレスなどの環境によってスイッチがオンになったりオフになったりしていると考えたほうが正しいと思っているんです。”“思いというのを二つに分け、恋とか喜びとかわくわくさせるようなポジティブな思いはポジティブ遺伝子のスイッチをオンに、不安、恐怖、いじめなどのネガティブな思いはネガティブ遺伝子のスイッチをオンにする”と言っています。

がんをはじめ病気には必ずその原因があります。その主な原因はストレスでしょう。ストレスは一人一人違います。まず原因を確認し、原因を取り除くこと。そこから病気に対する姿勢ができてきます。そうしてネガティブ遺伝子をオフにして、それからポジティブ遺伝子をオンにしましょう。ポジティブ遺伝子をオンにするということについても書かれています。

“赤ちゃんはゼロ歳だけれど、地球生命では38億歳です。生まれるということは、両親にとどまらず、地球の生命時間の気の遠くなるような時間を経たなかで丹精こめてつくられた奇跡的な生命なんだと、生まれてきただけで大もうけなんだと、そう考えないと本当のポジティブ思考にならないわけなんです。”
がんの場合、がん遺伝子とがん抑制遺伝子があり、これもがん遺伝子をオフにし、がん抑制遺伝子をオンにしていきます。
そして“たとえばがん遺伝子といっているのは、ある意味大事な遺伝子かも知れないんですね。要するに細胞を御していくための、基本的に大切なものかもしれない。だから、がん遺伝子というと一般には悪玉なんですけど、それはある場合には細胞がきちんと増殖するために大切な遺伝子かもしれないんです。だから、がん遺伝子をやっつけるということをやれば、へたをすると人間の細胞を増殖していく能力までやっつけてしまう可能性もある。”

現状のがん治療において、抗がん剤、放射線などの標準治療は直接がん細胞を叩いていこうとするものです。がん遺伝子を一方的に壊していこうとするものなのです。
そこに問題があるのなら、一方的に叩く治療を加減して、我々が持っている免疫細胞をオンにして、がん細胞と向き合っていく方法を見つけるべきでしょう。解明されていない97%の遺伝子を日常生活の中で掘り起こしていく、積極的な姿勢が必要とされています。
いずれにしろ、遺伝子はタンパク質がなければオンになりません。やはり鍵はタンパク質にあると言えるでしょう。

町田 久