先日、懐かしい方々とお会いする機会がありました。その際、ちょろちょろと動き回る私の子供たちをご覧になって、私の幼いころにそっくりだ、三人とも同じ顔をしている、と多くの方に声をかけられました。親子なので、似ているということもありますが、子供たちが双子であるということも大きいと思います。
院長コラムでもたびたび登場していた子供たちは、二卵性双生児でミックスツインと呼ばれる男女の双子です。二卵性双生児の場合は、初めから別々の受精卵で育っているため、兄弟が同時にできたことになり、兄弟程度似ていることになります。双子というと同じ性別、同じ顔、同じ血液型というイメージがありますが、これは、一卵性双生児が同じ遺伝子を持っているためです。
一般に「遺伝子」と呼んでいるのは、私たちの体の設計図のようなものです。私たちの体は、約60兆個の細胞からできています。その細胞の一つ一つには「核」と呼ばれる構造体があり、その中に46本の「染色体」があります。23本を父親から、23本を母親から受け継いでいます。その染色体を解いていくと、「DNA」が現れます。DNAは二本の鎖が絡み合ったような構造をしていて、二本の鎖の間を橋渡ししている成分がどう並んでいるかという設計図の情報が「遺伝子」ということになります。この遺伝子のセットは、一卵性双生児の場合は同じものですが、そうでない限り世界中さがしても同じセットを持っている人はいません。
遺伝子(設計図)をもとにして、私たちの体に合う酵素タンパクが作られます。あらゆる細胞や物質になって体を作っているのです。体を作る際に必要となるのが、食べ物から得られる栄養素です。もともと持っている設計図が一人ひとり異なっているのですから、必要な栄養物質も同じように異なっていることになりますね。同じ性別、年代、見た目も大体同じような体型の人が、同じ食べ物を同じ量摂取したとしても、同じ体の状態にはなりません。

ちなみに同じ遺伝子を持っている一卵性双生児は、まったく同じ栄養素が必要なのかというとそうではありません。一卵性双生児は歳をとるほど似ていなくなると言われています。背格好からシワの出方、病気なども異なり、一卵性とは思えないほど異なることさえあるそうです。それぞれ異なった環境で生活をしていくことで、遺伝子のスイッチがオンになったりオフになったりするためと言われています。遺伝子にはオンとオフのスイッチのようなものがあり、それが遺伝子を活性化させたり、不活性化させたりするのです。環境の違いが大きく影響していると言えます。

環境の差は、一卵性双生児だけではなく、私たちにも同じことが言えます。たとえば、ストレスを抱えなければいけない環境の人は、より多くのビタミンCが必要になります。ビタミンCはストレスから体を守るホルモンを合成するのに使われているのです。このホルモンは、腎臓の上にある「副腎」で分泌されます。普段、副腎には、高濃度のビタミンCが含まれていますが、ストレスが加わるとビタミンCの濃度が急激に低下してしまいます。道路の角から出てきた自転車にびっくりしたその一瞬でさえ、ビタミンCが約500mg、レモン約5個分が消費されると言われますので、ストレスによって多くのビタミンCが消費されているかが分かります。

私たちが持っている一人ひとり異なる遺伝子と、その人が置かれている環境によって、必要な栄養素も栄養量も異なります。自分の体によく向かい合って、そのときに必要な栄養素、栄養量を摂取できるようにしていきたいものです。

町田映子