エネルギー代謝と活性酸素

医師で登山家の今井通子さんと、21世紀ナビゲーターズコミッティーなどの会でたびたび同席しています。
彼女は世界ではじめて女性でアルプス三大北壁(マッターホルン、アイガー、グランド-ジョラス)を登攀しています。またチョモランマ(エベレスト)で冬季世界最高到達点8450メートルを記録しています。
私も高校生のときはよく山に登っていた話を彼女にしました。 北海道の苫小牧からバスで乗り換えながら1、2時間ほどの支笏湖の湖畔から風不死(フップシ)岳を登ります。風不死とはアイヌ語でトドマツの多い山という意味で1102メートルの山です。熊がよく出るというので、音を鳴らしながら、かなり気を使いながら歩いていました。そう高い山ではありませんが、急な沢を上っていきます。そこから尾根を樽前山のほうに歩き、そこから下っていきます。最後は最終バスのバス停まで急いで歩きます。朝早く出かけて夕方帰る1日登山コースでした。

今井さんとの話の中で、もうずっと山登りをしていないと言ったら、今井さんから“だんだん年をとってきたのだから、高い山を登るべきだ”といわれました。高い山に登ると酸素が薄くなります。若い人は酸素をたくさん使うエネルギー代謝をしているので、酸素が薄いところでの活動は息が続かなくなります。でも年をとってくると酸素をたくさん使うエネルギー代謝ではなく、酸素を少なく使う省エネタイプに変わっていきます。ですから年を取っていくと酸素の薄いところでの活動が若い人よりも有利になるというわけです。最近は若い人よりも多くの年配者の方のほうが登山を楽しんでいるわけがわかります。

KAPPA SCIENCE「スポーツは体にわるい」という本の中に次のような実験が掲載されていました。
“イエバエを250ミリリットルの容積のガラスビンと、容積がその100倍以上もある、27リットルのカゴに1匹ずつ入れて飼育する実験を、多数のハエについて行ってみた。当然、窮屈なガラスビンの中のハエの運動量は少なくなるわけだが、平均寿命は、ガラスビンの中のハエは39日、大きなカゴの中のハエは16日と、運動量の多いハエの寿命は半分以下になった。―略― このほか、いろいろの動物で活動度(運動量)と寿命の関係が報告されているが、野生動物では、必ずといっていいほど、運動量の多い個体のほうが短命になっており、それは、いわば常識ですらある。”

広く動物の世界をみても酸素消費量の少ないヒト、ゾウなどが長寿であり、酸素消費量が多いネズミ、ラットなどは寿命が短いこともこの本の中で紹介されています。
エネルギー代謝、いわゆる基礎代謝量が高いほど酸素の消費量が多くなるわけです。基礎代謝量を高めることは健康を保つ上で必要なことですが、過度に基礎代謝量を高めると酸素の消費量が多くなり、酸素の一部が活性酸素となり毒性を持ち、生体膜の脂質、タンパク質、DNAなどを攻撃して、体を痛めていきます。
活性酸素の毒性を水に除去するには抗酸化物質を積極的に取り入れましょう。脂溶性抗酸化物質ではビタミンE、CQ10、水溶性抗酸化物質ではビタミンC、ライチポリフェノールなどを勧めています。脂肪の分解などの働きもあり、メタボリック対策にはうってつけのサプリメントです。

町田 久

タンパク質が代謝を高める

今年も猛暑が続いています。東京は7月中旬から20日間30度を越えていますが、台湾の対岸にある交流先の中国福建省ではこの時期38度を超える日 が続いています。この数年は40度を越える日も記録しています。40度が続くとヒトの体が追いつかず、危険な状態になり亡くなる方も出てきます。
ちなみに冬のハルピンでマイナス35度を経験しましたが、足先から頭までしっかりとした防寒具が必要となります。特に口と鼻から急に冷たい空気を肺に入れると呼吸困難を起こします。どちらにしても気温に応じての体温の急な変化は体に無理がかかります。

治療の際、いろいろな病気の方を問診していますと、低体温の方が、ことに若い女性に目立っていらっしゃいます。私達は、体の代謝をスムーズに促していくためには、少し高めの体温が必要で、体温が低いといろいろな代謝が滞ってきます。
例えば、不妊症の患者さんの足を触ると氷のような冷たさを感じます。その冷たい血液が子宮に運ばれ、卵巣、子宮などでの代謝を抑えてしまいます。足が温かくなってくることが妊娠の目安にもなります。といって毎日足湯をしていくだけでは解決にはなりません。

すべての代謝はDNAの設計図から作られたタンパク質(主酵素)にビタミン、ミネラル(補酵素)が結合して、基質に働きかけて進行していきます。卵巣、精巣で性ホルモンが作られるためには、いくつかの代謝を経ていきます。
肝臓内で酢酸からスクワレンが作られ、スクワレンからコレステロールが作られます。そして卵巣、精巣内でコレステロールが基質となって、DNAの指令によって構造が決められたタンパク質にビタミンEが結合して黄体ホルモンが作られます。
黄体ホルモンからヒドロキシプロゲステロンにそしてヒドロキシプロゲステロンから性ホルモンが、一方、同じ代謝を経てコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンが作られます。この代謝にはビタミンCが必要です。副腎皮質ホルモンは消炎、抗ストレスに働きます。

性ホルモンの代謝を促すにはコレステロール、タンパク質、ビタミンEが必要となり、それら が結合するために熱が必要とされます。低体温でなおかつ低コレステロールの人が多く見られますが、それらの方は性ホルモンの代謝が滞り、不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣脳腫、更年期障害などの婦人科疾患にかかりやすく、ストレスに弱く、炎症の回復も遅くなります。
コレステロール値を高めるには肝機能を高めることが大事です。コレステロールは1日2000mg必要とすると、そのうち1500mgほどは主に肝 臓で作られます。そして肝臓での代謝に一番必要なものは高タンパク質です。また体温を上げるためにも高タンパク質が必要となります。
体温を保つのは筋肉で、筋肉ではビタミンE,コエンザイムQ10などを利用しながらエネルギー代謝によって熱が作られます。筋肉はタンパク質ですから、タン パク質の摂取が不足してくると、筋肉が衰え、エネルギー代謝が落ち込んできて、低体温になります。若い女性は極端なダイエットに走ります。
タンパク質の摂取が不足して低体温になると、脂肪をつけて体温を保とうとします。結果は食事を抜くと脂肪がつくといった悪循環に陥ってしまいます。タンパク質を毎日摂取するよう心掛けましょう。

町田 久

紫外線にはご注意を

先日テレビNHKスペシャルで紫外線にまつわる病気の特集をしていました。
オーストラリアの日光による皮膚ガンの発生率は世界一で、特にヨーロッパから移住してきた白人に皮膚ガンの発生リスクが特に高く、2人に1人が皮膚ガンになると予想されています。特に8割以上は日光にさらされて顔に出来たと報告されています。今回のテレビでも何度も何度も皮膚ガンの手術を繰り返してきている男性が紹介されていました。太陽の陽は緯度の低い地方ほど強いわけですが、オーストラリア人はビーチが好きで毎夏560万人が日焼けしていると言われています。

ガン研究所をはじめ国が色々なキャンペーンを行っていますが、その中にsun smart(サンスマート)プログラムというのがあります。
1) slipスリップ(長袖を着る)
2) slopスロップ(日焼け止めを塗る)
3) slapスラップ(帽子、サングラスをかぶる)
と3つの方法を提唱しています。10歳までに浴びる紫外線の量が多いと生涯における皮膚ガンの発生率が3~5倍高くなると言われ、小学生から高校生までこのsun smartプログラムを徹底させています。

ところが一方、イギリスの日照時間の少ない地方に住む黒人の子供は骨が変形したり、成長が妨げられたり、毎日ビタミンDを投与されています。黒人は皮膚にメラニン色素が多く、紫外線をブロックしてしまい、日照時間が少なくなるとビタミンD欠乏症になってしまいます。ビタミンDは紫外線が当たることによっても体内で合成され、カルシウムの骨への吸収を促します。

日本でも新潟など日照時間の少ないところは骨粗しょう症のお年寄りが多く、逆に札幌では皮膚病が多くなっています。札幌は北極圏のオゾン層の破壊と関連して、オゾン層におけるオゾンの量が顕著に減少し、有害紫外線の量が増えてきています。
このように日照時間、オゾン量などで紫外線は多くても少なくても問題があり、皮膚の色によっても影響があります。自分の地域の季節ごとの紫外線量に関心を持つことが必要です。

紫外線は、可視光線より短く、光のスペクトルで紫色よりも外側になるので、英語ではultraviolet といいUVと略されています。UVには波長によって3つに分けられます。UVA(400~315nmナノメーター)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm)があり、UVA、UVBはオゾン層を通過して地表に達しますが、UVCは通常は大気を通過できません。UVAは皮膚の奥まで入り、コラーゲンにダメージを与えて、肌の弾力を奪い、しわやたるみを作り、UVBは表皮に入り日焼け(サンバーン)を起こし、防御反応を取って免疫を低下させ、皮膚ガンや白内障の原因になります。
紫外線による酸化を防ぐには、外出前のビタミンC、ほかにプロテイン、ビタミンE、Aが必要です。日焼け止めのクリームはSPFの数字が目安で何も塗らないと肌は20分ぐらいで赤くなります。たとえばSPF10のクリームですと10倍の200分、3,4時間効果があるわけです。長い外出の場合は40とか50がいいでしょう。そして帰宅してからのビタミンEオイルでのマッサージが効果的です。

町田 久

目のサプリメント ~健康診断に向けて

毎年暮れになると健康診断を受けに行きます。
日常色々なサプリメントを入れていますが、検診の1,2月前から狙いを定めて、そのためのサプリメントの量を増やしていきます。去年は視力に焦点を合わせました。視力はサンクリニック(乳腺科、内科、小児科)の杉野先生からピクノベリーとプラセンターエキスを患者さんに勧めて、視力が良くなっている患者さんが多いと報告を受けていました。そこで今回の検診に際し、私は視力回復のためにピクノベリーとビタミンAを多く摂取してみました。
結果は2006年11月29日、右0.7、左0.6の矯正視力が、2007年11月1日、右1.0、左1.0に回復していました。この数字は杉野先生から受けた20~30例の報告と同じようなものでした。

ピクノベリーはフランス海岸松から抽出したピクノジェノールにルテイン、ビルベリー、アスタキサンチンなど眼に対する抗酸化物質を配合したものです。
ピクノジェノールは子宮内膜症、月経痛によく使われるもので、アメリカなどではアスピリンの代わりに心臓発作、脳卒中の予防に使われています。また失明原因1位の糖尿病による網膜症に効果が見られています。網膜の毛細血管のもろくなるのを防ぎと弾力性を高めて保護する働きがあるという研究結果が出ています。
ルテインは、ほうれん草などに多く含まれているカロテノイドで水晶体と黄斑部(眼の奥、眼底の中心とその周辺)にあって酸化を防いでいます。
アスタキサンチンはサケ、イクラ、エビ、またカニなどの甲殻類の殻に見られる赤色のカロテノイドで光障害から眼を保護する抗酸化物質です。
ビルベリーはブルベリーの原生種と言われ、北米、カナダの砂地に生育し、黒紫色の果実をつけます。その果皮にアントシアニンという抗酸化物質を含んでいます。アントシアニンはロドプシンの働きを助けます。ロドプシンは目の網膜にある紫色の色素で、ロドプシンに光が当たることで分解され、そのエネルギーが脳に信号を送り、“ものが見える”と認識されます。このときビタミンAと共にアントシアニンがロドプシンの再合成に関わります。ロドプシンの再合成が視力回復には最も重要な働きと言えるでしょう。

眼球の内腔を埋める硝子体は透明なゼリー状の組織でコラーゲンとヒアルロン酸が成分です。硝子体の透明度は視力の必要条件です。コラーゲンの生成にはビタミンCが、ヒアルロン酸の生成にはビタミンAが必要です。このようにピクノベリーとビタミンAを併用して摂取することは、視力、網膜症のみならず、眼精疲労、ドライアイ、鳥目など眼の一般的な疾患に有効です。
眼は光を視るということですから、どうしても光による眼の酸化は免れられません。カメラのレンズにあたる水晶体が白濁して視力が低下してくる病気である白内障は通常50~60歳に発病し、60歳で65%、85歳で100%と罹患してきます。光による眼の酸化を防ぐのはビタミンA,Cです。これから紫外線が強くなります。この期間、充分なビタミンA,Cを補給することが大切です。

町田 久

ふれあいの町づくり

3月中旬に長野県飯山市でセミナーを開きました。
飯山市森林セラピー協議会が主催です。その飯山市を昨年冬に訪れ、過疎化対策についての話し合いがありました。そのなかで“ふれあいの街”にしてはどうですかと提案してきました。
2月10日、11日が雪祭りでしたが、全く雪がなく、“雪のない雪祭りにようこそ”というのがみんなのキャッチフレーズという豪雪地域の飯山市では考えられない雪祭りを経験しました。雪祭りは地域にとって集客力のあるお祭りとも言えます。
過疎化に対して、外から人を集めようとする動きがあります。人が集まるにはそこに人が集まる何かが無いと集まりません。しかし単に施設を作ったり、外に向かって発信しても先細りの事業になっているものが多いのではないでしょうか。その事業がその地域に根付くには、その住民がどのようにその事業に関わるかが決め手になると思います。住民が活き活きと参加するものでなくてはなりません。まず地域住民の活動の活性化があり、そこに外から人が集まる形にすべきだと思います。

飯山市は森林セラピー基地の認定を受けています。母の森と言われているブナの里山小路(距離1200m、所要時間30分)、茶屋池森林浴歩道(距離2300m、所要時間1時間)、信越トレイル(距離45km)、斑尾高原トレッキングトレイル(距離50km)、神の森と言われる北竜湖周遊の道(距離2.2km、所要時間1時間)、そして修験の山道(距離1.9km、所要時間2時間)のコースを持っています。私の提案はこのような森林環境のある街の皆さん全員マッサージができる街にしようとするものです。それが私の言うふれあいの街という意味です。

今回のセミナーのテーマは“アロマセラピーとセルフマッサージの癒し効果”でスライドを使っての話の後、皆さんが自分でできるマッサージの実技指導を行いました。
赤十字病院が会場でしたので、赤十字病院を始め市民病院の関係者も多数参加されました。5月からはJ-EAT(日本統合セラピスト教育協会)の認定コースが赤十字病院内で行われます。赤十字病院を基盤にして“ふれあいの街”の活動を広げていきます。飯山市観光課旅産業係、森林セラピー協議会を中心にその輪が広がっていくと思います。

触れることで精神的なつながりを深め、不安を和らげたり、痛みをとったり、意欲を促したり、幸福感をもたらしたりと、QOL(生活の質)を高めていきます。そのとき脳内神経伝達物質のドーパミン、βエンドルフィンなどが増えています。
ドーパミンはその量が減るとパーキンソン病、てんかん、多動性、不注意、衝動性などを特徴とする注意欠陥多動性障害(ADHD)認知症、高血圧症などの病気の発症の原因になり、その量が過剰になると、幻聴、幻覚、妄想などの統合失調症をもたらします。また、ドーパミンはカルシウム依存性で、カルシウムによってドーパミンの合成を活性させていきます。また短期間のストレスが必要とされます。ストレスが長時間になるとドーパミンの合成がうまくいかなくなります。そして適当な運動が必要です。
一方、βエンドルフィンはストレスホルモンの切れっ端で、ストレスを与えないと作れません。そして適当な運動が必要です。マッサージ、ふれあいは相手に触れられ、そして続けるというポジティブなストレスです。そこに存在するお互いの信頼感がポイントとなるのです。

町田 久