2017年9月コラム「ロコモにならないために」

治療院にいらしてくださる方々のなかには、膝や腰に痛みを抱えていらっしゃるケースが多く見られます。足腰に痛みが出ると途端に生活そのものが崩れていってしまうと皆さん足腰の大切さを感じられるようです。年齢を重ねるにつれ、どうしても不具合は出てきてしまいます。ですが、自分の足で動けるかどうかで行動範囲も精神的な安定も大きく違います。多少の不具合があっても自分で歩ける方は、行動範囲も広く好奇心も旺盛。お元気な方が多いように思います。

ロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことがありますか? ロコモとも呼ばれる高齢者の方に多く見られる運動器障害です。筋肉や関節、靭帯といったような身体を動かすために必要な運動器に支障が出てくることにより、日常生活を一人でこなすことができなくなることを言い、進行すると介護が必要になってしまいます。要支援、介護認定を受ける原因として認知症や脳卒中と肩を並べると言われます。15分以上歩けない、支えなしに立ち上がることができない、転倒の危険性といったチェック項目がありますので、現状を把握しておくのもいいと思います。

ロコモにならないために、無理のない範囲での運動が必要です。ストレッチをしたり、つかまり立ちをして踵の上げ下ろしをするような簡単な運動を日常に取り入れる意識が大切です。
また、同時に栄養にも気を配っていただきたいと思います。だんだん食事の量が減ったり、好みの食事だけに偏りがちの方が多くなると聞きます。若い人じゃないから栄養はそんなに必要ないと思われがちですが、筋肉量が減る分、たんぱく質もかえって多く摂取していく必要があります。しっかり良質なたんぱく質を摂り、ハツラツとした毎日を送りましょう。

皮膚を老化させる夏の冷え症、その対策は?

夏の冷え症

夏の冷え症

梅雨の合間を縫って、だいぶ夏らしい暑い日が増えてきました。セラでも製品を置いてある部屋では、エアコンで温度と湿度を管理しています。そのため、部屋によっては足元から冷たい風が吹いてきます。
夏の冷え性というと以前は違和感がありましたが、今では普通に理解されるようになってきました。エアコンや扇風機の風や冷たい飲み物などによってからだが冷え、冬とは違う冷え性を引き起こしてしまうことですね。
直近5年の東京の8月の平均気温をみると28.6度。この50年で1.5度、100年で3.3度上昇しているように、夏の暑さが厳しくなっていることも、冷房の室内で冷えを感じやすくなっているのかもしれません。

私たち哺乳類は恒温動物と言われ、外の環境に関わらず一定の体温を保つ機能を持っています。35~37℃くらいが平均的な体温ですが、この平熱を保つためにからだのエネルギーの75%以上を使っているのです。寒さを感じると蓄えているエネルギー源を燃やして体温を上げ、暑さを感じると汗をかいたりすることで体温を下げています。この調整を脳の中で指示を出していますが、夏の冷え性に陥ると、神経系がうまく作動しなくなってしまうのです。
環境に左右されない深部体温とは対照的に、外気温に合わせて変化しているのが、「皮膚温」です。皮膚温は温度や環境、心理的要因によって変化するのが特徴で、32~33℃が理想と言われるように深部体温より少し低めです。その温度は流れている血流の量に比例していて、血流が多いと皮膚温は高くなり、少ないと低くなります。つまり皮膚温が低いということは、血流が悪く停滞している状況にあるのです。血流が悪くなっていると、細胞のはたらきも妨げられ、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥だけではなく、クマやくすみの原因になります。皮膚に栄養分が行き渡らなくなるためターンオーバーも遅れ、一気に老化することも。
夏のエアコンや扇風機の風は、この皮膚温を必要以上に下げてしまう原因になってしまいます。夏なのに肌が乾燥していると感じる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。皮膚温が下がり過ぎると、肌を守って皮脂も少なくなり、バリア機能が低下します。

夏だからこそ、深部体温だけではなく皮膚温も調整できるよう気をつけることが必要です。
それでも、冷房の効いたオフィスに長時間いなければならない方も多いと思います。とくに手足など末端が冷えやすくなるので、ひざ掛けやソックス、上着などでできるだけ身体を冷やさないように心掛けてください。
たくさんの睡眠と栄養バランス、からだを温める飲み物や入浴とともにマッサージも効果的です。
栄養面では、代謝の基本となる良質なタンパク質(プロテイン)の補給が効果的ですね。マッサージも、オイルなどを使って行うとお肌に潤いも与えてくれます。

腸内フローラとタンパク質

37879856_s

今月は、静岡のパートナさんからのご依頼で講演をさせていただきました。静岡に向かう途中には富士山や駿河湾を見ることができ、さらに市街が一望できるすてきなレストランでたくさんのお客様と過ごし、本当にしあわせな一時でした。

お話しさせていただいた内容は、多くのテレビ番組で特集が組まれ話題の腸内フローラです。 腸内フローラが存在しているのは、小腸の回腸から大腸にかけてです。 1㎏以上の腸内細菌が生息し、善玉菌と悪玉菌とのバランスによって、美容や健康に多くの影響を与えていますが、実は大切なのは腸内フローラそのものだけではありません。
私たちが食事をすると小腸で栄養素が分解吸収されます。たくさんの栄養を吸収するために、小腸には絨毛がびっしりと並び、それを広げていくと体表面積の100倍以上にもなると言われています。大腸にはこの絨毛はありません。大腸では水分のみが吸収される仕組みになっているからです。そのため大腸には吸収しきれなかったものが蓄積されたりと、大腸での病気が多発しやすいようにできているのです。小腸できちんと栄養素を分解し吸収することがいかに大切になるかお分かりいただけるでしょう。

小腸で栄養素は細かく分解されますが、それをからだ中に血管を通して運ぶにはタンパク質が必要です。タンパク質・プロテインと聞くと、どうしても筋肉増強というイメージがありますが、私たちのからだを形づくるためにはどうしても不可欠な栄養素なのです。どんなものにも必ずタンパク質が基本となります。
タンパク質を食事から摂るためには、いくつか注意が必要です。たとえば、タンパク質がたくさん摂れる卵。MからLサイズで5gのタンパク質が入っています。特に白身は水分を除くと、ほとんどがタンパク質です。卵は、昔の映画のように生卵のまま飲み込むのはお勧めできません。吸収がいいのは、火が通った状態です。これは卵白に含まれる“オボムコイド”という糖タンパクが、タンパク消化酵素である”トリプシン”の作用を阻害してしまう働きがあるから。せっかく卵を食べてもタンパク質の消化が妨げられ、体内の利用効率が下がります。タンパク質の生体利用率は生卵で51%、加熱された卵では91%との報告もあるほどです。

食事から必要な栄養を採るのも簡単なことではありません。
普段の食事とプロテインサプリメントを上手に調節しながら、腸内環境から健康でありたいものです。